【テストプレイの心構え】
はじめまして。イバラユーギと申します。
「マーダーミステリー」と呼ばれる、とても面白いゲームを作ったり遊んだりしています。
今回も、マーダーミステリーを制作する人向けのマニアックな内容です。
イバラユーギは、43作品ほどマーダーミステリーを創っていて、
テストプレイは、オフラインなら4回ほど、オンラインなら10回ほどするので、自分のシナリオのテストプレイを200回ほどしている計算になります。
ゲームを作るうえで、テストプレイは大切です。
ただ、マーダーミステリーゲームは、テストプレイを行うことがかなり難しいジャンルでもあります。
その理由が、ご存じ「一度しかプレイできないから」
テストプレイに参加してくれた人たちは、テストプレイという未完成な状態で遊んだとしても、もう遊ぶことは出来ません。
だから、制作者側にはテストプレイに参加してくれた方に最大限の感謝と、
そのテストプレイの濃度を可能な限り上げ、意味のあるものにする義務があります。(これはあくまでイバラユーギの考えです!)
っていう前置きで、はじまります。
まとめると、
「テストプレイに参加してくれる人に返せる一番のものは、作品を良くすること」
だと考えています。
言葉とか物とかでも感謝は伝えられるけど、やっぱり感謝は行動で示すべきで、テストプレイに参加して良かった!と思って貰えるように、リリース後にいっぱい遊ばれる作品にしたいですね。
そんなこんなで、マーダーミステリーのおけるテストプレイの濃度のあげ方!
前提条件として、誤字脱字・タイムラインの矛盾とか、そういった「ミス」を修正する話は、当然なので書きません!
これから書くのは、マイナスを消す話ではなく、プラスをのばす話、つまりゲームを面白くする方法です。
あと、イバラユーギが200回ほどマーダーミステリーのテストプレイして得た個人的な考え方なので、必ずしも正解とは言えませんし、もっとマーダーミステリーのテストプレイしてる方からしたら当たり前の内容になる点もご了承下さい!
【テストプレイ前に心がけること】
①ゲーム展開の軸を持つ!
マーダーミステリーは、プレイヤーが紡ぎあげる物語なので、必ずしも想定通りにはいかないどころか、作者の想定を超えることなんて当たり前にあります。
それでも作者はゲーム展開の軸を持つ必要があります。
分かりやすく言うと、作者の脳内にある理想の展開です。
出来る限り明確に、このゲームの理想の展開は?と聞かれたらすぐに答えられるくらいの状態であることが望ましいです。
「このフェイズにこういう議論が起きて、ここでこんな気付きがあって、だからこうなる!犯人が捕まったらこういう面白さがあって、逆に犯人が逃げ切ったらこうなるから面白い!」
みたいな。これを言語化出来ていればいるほど、テストプレイの質は上がります。
どうせ作者の脳内にある理想の展開なんてものはプレイヤーに超えられますが、
それが、有ると無いとでは、テストプレイをする際の取り組み方が変わるので意識しています。
②一番面白くないキャラクターを把握する!
マーダーミステリーは非対称のゲームなので、全キャラクターがまったく同じ満足度ということは”ありえません”。
ここでいう満足度とは、プレイヤー依存のもの(展開やメンバーに依存するもの)ではなく、ゲームとしての満足度です。
作者としては、当然全キャラクターがほぼ同じ楽しさになるように努力しますが、それでも「ほぼ」同じにしかなりません。
ちゃんと、どのキャラクターが一番面白くないかを把握することは、テストプレイにおいてかなり重要だと考えています。
その上で、一番面白くないと作者が理解しているキャラでもちゃんと満足して貰えるように調整します。(頑張ります!)
【テストプレイ中に心がけること】
①時間をすべてメモする!
当然ですが、割と抜けがちなことなので書きました。
プレイ時間なんてものは、短ければ短いほどいいです。
仮に、まったく同じ楽しさだとするなら、5時間シナリオと3時間シナリオなら、確実に3時間シナリオのほうが優秀です。
「意味のない時間」「削っても問題ない時間」は、結構あります。
楽しさを変えずにどれだけ時間を短くできるか、最終的に調整するためにも細かくメモします。
開始時間はもちろん、
19:20 凶器のカードをオープンされた
19:22 〇〇の秘密が公開された
19:25 アリバイ精査
19:30 第2フェイズ終了
……みたいに、プレイヤーの動きも合わせてメモると後から見返す時にとても良いです。
②思ったことは全てメモする!
テストプレイ、脳みそをかなり使うのでフィードバックを貰う頃には、思っていたことを忘れがちです。
プレイヤーが困っていたことや、理解できていなかったこと、
議論が揺れた原因、もうなんでもすべてメモっとけば役に立ちます。
ちなみにイバラユーギは、アナログ人間なのでテストプレイのメモは全部手書きなんですが、だいたいA4の紙が3~4ページ文字で埋め尽くされます。
メモをしながら重要度も選別してて、特に絶対に調整する!って項目には☆をつけたりしてます。
【テストプレイ後に心がけること】
①フィードバック
ここからはテストプレイに参加してくれたプレイヤーから、フィードバックを貰います。
フィードバックで重要なことは「感想にならないこと」
雑多になんでも話していいよ~!ってすると、聞きたいことが聞けなくなるし、どうしても感想になっちゃうので、しっかりと聞きたい項目を絞ります。
イバラユーギは、聞きたい質問をいくつかまとめて、それに関して順番にフィードバックを貰う、ってのを繰り返す形式をとっています。
感想になったら何がだめかっていうと、狙いとのずれが出るからです。
例えば、推理重視のばちばちで争うゲームを創りたいとして「感動できなかったです!」っていうフィードバックは必要ないですよね。
わざわざ、時間を割いて未完成なマダミスのテストプレイに参加してくれたプレイヤーに、必要ないことを出来る限りさせない。
そのためには、ちゃんと欲しいフィードバックを伝えた方が、両社にとって建設的だし、効率が良いです。
例えば、
・第一フェイズの調査方法について、ストレスとかなかったですか?もしあったら、どういった部分ですか?
→全員のフィードバックをひとりずつ順番に聞く
・自キャラ視点で、ほかのキャラより自分のキャラクターが満足度低かったって感じましたか?
→全員のフィードバックをひとりずつ順番に聞く。
・マスタリングの処理や、プレイヤー導線でストレスを感じた部分はありますか?
………みたいな感じで進行しています。
フィードバックを貰う時間は、まじでありえないくらい全集中しています。
貴重な時間を貰っていることはもちろん、ゲーム後の感想はその瞬間しか出せない生ものだと思っているので、ここを逃せば終わりです。
基本的には、プレイヤーから感じたことを聞き、
制作者側が「なぜそう感じたのか?」の理由を言語化し、解決する。
という、流れで行っています。
例えば、
「私のキャラは面白くなかった」というフィードバックを貰ったとして、
こちらは、
まわりのキャラクターと比べて面白くなかったのか、情報が少なかったのか、かみ合わせが悪かったのか?
今回は、ゲームの流れが〇〇だったから、確かにこのキャラは面白くなかったかも。これは想定外だなぁ。じゃあ、この流れの時も一定値の満足度を確保するためにはどうやって調整したらいいだろう?
と、その瞬間に脳内をフル回転して、アイデアを放り投げます。
それで確かに面白くなりそう!ってなるときもあるし、思いつかなかったら「何かアイデアはないですかああああ!!??」って全体に投げたりもします。
それでも思いつかなかったら、持ち帰って宿題にする。って感じです。
【まとめ】
正直言うと「天才」がいるとしたら、
テストプレイなんかしなくても脳内でブラッシュアップして面白くできる人だと思います。
でも、イバラユーギは全然天才じゃないから、テストプレイに参加してくれるプレイヤーがいてはじめて作品を完成させられます。
「ひとりじゃ創れない凡才だから、全力でテストプレイに取り組む」
テストプレイヤーは、一緒に創ってくれた仲間だと思っています。
ありがとな!ありがとな!
おわり